競馬の期待値と投資思考|馬券脳をトレード脳に変える方法

パチンコ台を打つギャンブル脳

競馬は構造的にギャンブルですが、競馬で期待値を意識して馬券を買っていた人には、投資家としての素養が備わっています。私自身は数えるほどしか競馬はやったことがありませんが、FXトレードに通じるところがあると感じています。

この記事では、競馬の期待値計算の仕組みを整理した上で、その思考法をFXや投資にどう転用できるかを解説します。

競馬の還元率は約70〜80%という現実

競馬の還元率は、馬券の種類によって法律で定められています。具体的には以下の通りです。

馬券の種類 還元率 控除率
単勝・複勝 80% 20%
馬連・ワイド・枠連 77.5% 22.5%
馬単・3連複 75% 25%
3連単・WIN5 70% 30%

この数字が意味するのは、全馬券購入者に対して、JRAが最初から20〜30%を抜いているということです。つまり、100万円分の馬券が売れたら、配当として戻ってくるのは70〜80万円だけ。残りはJRAの取り分です。

これを期待値で表現すると、3連単の場合は「期待値0.7」となります。1万円買えば、平均して7,000円しか戻ってこない計算です。長期的に見れば、買えば買うほど資金は減っていく事になります。

「でも俺は勝っている」という人もいるでしょうが、全体のパイは最初から30%減っている状態での戦いです。

競馬における期待値の考え方

競馬で継続的に利益を出している人は、必ず期待値を意識しています。期待値とは「その賭けを無限回繰り返したときの平均的な損益」のことです。

競馬における期待値の計算式は以下の通りです。

期待値 = オッズ × 的中確率

たとえば、オッズ5.0倍の馬が25%の確率で勝つと予想した場合、期待値は「5.0 × 0.25 = 1.25」となります。期待値が1を超えているので、この馬券は「買い」という判断になります。

ここで重要なのは、「的中確率」は自分で推定するしかないという点です。JRAが公表するオッズは、あくまで他の馬券購入者の投票結果を反映したものに過ぎません。

競馬で勝っている人は、以下のような作業を行っています。

  • 過去のレースデータを分析して、馬の実力を数値化する
  • 騎手・調教師・コース適性・馬場状態などの変数を加味する
  • 自分なりの的中確率を算出し、オッズと比較する
  • 期待値がプラスの馬券だけを買う

この作業は、まさに投資家がファンダメンタルズ分析を行い、割安な銘柄を探す行為と本質的には同じです。「市場価格(オッズ)」と「本質的価値(自分の推定確率)」のギャップを見つけて利益を得ようとしている点で、両者は共通しています。

競馬とFXの構造的な違い

競馬とFXは、期待値を追求するという点では似ています。しかし、構造的に決定的な違いがあります。

項目 競馬 FX
胴元の存在 JRAが20〜30%を控除 胴元なし(スプレッドのみ)
期待値の理論値 0.7〜0.8(マイナスサム) 約1.0(ゼロサムに近い)
スキル介入の余地 あり(情報分析) あり(テクニカル・ファンダメンタルズ分析)
取引コスト 控除率20〜30% スプレッド0.2〜3pips程度
資金管理の自由度 賭け金で調整可能 レバレッジ・ロット・損切りを細かく設定可能

重要な違いは「胴元の存在」です。競馬では、どれだけ上手く立ち回っても、最初から20〜30%のハンデを背負っています。一方、FXトレードには胴元がいません。取引コストはスプレッドのみで、これは競馬の控除率と比べると圧倒的に小さいです。

つまり、FXは理論上「期待値1.0」に近いマネーゲームです。スキルによって期待値をプラスにできる余地が、競馬よりも大きいと言えます。

FXの仕組みについて詳しく知りたい方は、FXとは?初心者トレーダーにもわかる仕組みと利益が出る理由をご覧ください。

競馬で培ったスキルのFX転用法

競馬で期待値を意識していた人は、FXで有利に戦える素養を持っています。具体的にどのようなスキルが転用できるか見ていきましょう。

1. 期待値計算 → リスクリワード比率

競馬の「オッズ × 的中確率」という計算は、FXでは「リスクリワード比率 × 勝率」に置き換わります。

たとえば、損切り10pips・利確30pipsのトレードで勝率40%の場合を考えます。

  • 勝ちトレードの期待値:30pips × 0.4 = 12pips
  • 負けトレードの期待値:-10pips × 0.6 = -6pips
  • トータル期待値:12 - 6 = +6pips

このように、勝率が50%を下回っても、リスクリワード比率を高く設定すれば期待値はプラスになります。競馬で「オッズの歪み」を探していた人なら、この考え方はすぐに理解できると思います。

詳しい計算方法はリスクリワードレシオの計算|勝率が低くても勝つ方法で解説しています。

2. データ分析 → テクニカル・ファンダメンタルズ分析

競馬で過去のレースデータを分析していた人は、FXのチャート分析やファンダメンタルズ分析にも抵抗なく取り組めます。

競馬では「前走の着順」「コース適性」「馬場状態」などを分析しますが、FXでは「過去の値動きパターン」「サポート・レジスタンス」「重要経済指標」などを分析します。データから優位性を見出すという点では、やっていることは本質的に同じです。

3. 資金管理 → ポジションサイジング

競馬で「1レースにいくら賭けるか」を考えていた人は、FXの資金管理もスムーズに理解できます。

FXでは「2%ルール」という考え方があります。これは「1回のトレードで失う最大額を、総資金の2%以内に抑える」というルールです。

競馬で「1レースに総資金の5%以上は賭けない」といったルールを設けていた人は、この考え方に馴染みやすいでしょう。

資金管理の詳細は2%ルールとは?1トレードのリスク許容額の決め方で解説しています。

4. 損切り判断 → ストップロス設定

競馬では「このレースは見送る」「今日はもうやめる」という判断が重要だと思います。熱くなって追い上げると、冷静な判断が出来ずに資金を一気に溶かすでしょう。

FXでも同様に、損切り(ストップロス)の設定が生命線となります。「ここまで下がったら諦める」というラインを事前に決めておく習慣は、競馬経験者にはすでに身についているはずです。

競馬好きがFXで陥りやすい危険パターン

競馬の経験がFXに活きる一方で、競馬特有の思考パターンがFXで悪影響を及ぼすこともあります。

1. 一発逆転思考

競馬では「3連単の高配当で一気に取り戻す」という発想がありますが、これをFXに持ち込むと危険です。

FXで高いレバレッジをかけて「一発で取り戻そう」とするのは、典型的な負けパターンです。リベンジトレードを防ぐ|負けた後に熱くならない技術も参考にしてください。

2. 的中率へのこだわり

競馬では「当てた」という感覚が快感につながりますが、FXでは勝率よりも期待値が重要です。

勝率30%でも、リスクリワード比率が4:1なら期待値はプラスになります。「当てること」ではなく「トータルで勝つこと」に意識を切り替える必要があります。

3. 「読み」への過信

競馬で「読みが当たった」経験が多い人ほど、FXでも自分の予想を過信しがちです。

しかし、相場は競馬以上に不確実性が高い世界です。「自分の予想が外れる前提」で損切りラインを設定し、資金管理を徹底することが求められます。

人間の心理的なバイアスについてはバイアス(思い込み)の罠|確証バイアスと正常性バイアスで詳しく解説しています。

4. 「勝負勘」への依存

競馬では「今日は調子がいい」「この馬は来る気がする」といった直感が当たることもあります。しかし、FXでは直感よりもルールに基づいた売買が重要です。

なんとなくするエントリーには、再現性がなくやればやるほど資金を減らす原因となります。ポジポジ病の克服方法|無駄なエントリーを減らすコツも併せてお読みください。

まとめ

競馬で期待値を意識して馬券を買っていた人は、投資家としての素養をすでに持っています。オッズと的中確率のギャップを見つける作業は、FXでリスクリワード比率を計算する作業と本質的に同じだからです。

ただし、競馬とFXには構造的な違いがあります。競馬は還元率70〜80%のマイナスサムゲームですが、FXの世界には胴元がいないためゼロサムに近く、スキルによって期待値をプラスにできる余地が大きいです。

競馬で培った「期待値計算」「データ分析」「資金管理」「損切り判断」のスキルは、FXでも確実に活きます。一方で、「一発逆転思考」「的中率へのこだわり」「読みへの過信」といった競馬特有の思考パターンは、FXでは足かせになる可能性があります。

競馬を完全にやめる必要はありませんが、期待値がプラスになり得る世界を体験してみてはいかがでしょうか。