通貨強弱の判定方法|最強通貨×最弱通貨ペアを選んで勝率を上げる戦略
「ドル円とユーロ円、どっちをトレードすればいいんだろう?」「今日はどの通貨ペアが動きそう?」そんな疑問を抱えたまま、なんとなく通貨ペアを選んでいませんか?実は、FXで勝率を上げるには「今一番強い通貨を買い、今一番弱い通貨を売る」という通貨強弱の判定が非常に重要です。通貨強弱を正しく見極めることができれば、トレンドに乗りやすくなり、無駄なエントリーを減らすことができます。この記事では、初心者でもすぐに実践できる通貨強弱の判定方法を3つ紹介し、その仕組みと実戦での活用法までを徹底解説します。
通貨強弱とは?FXで重要な「買うべき通貨」の見極め方
通貨強弱とは、複数の通貨の中で「今どの通貨が最も買われているか(強い)」「どの通貨が最も売られているか(弱い)」を相対的に判定する分析手法です。
FXでは常に2つの通貨を組み合わせた「通貨ペア」で取引するため、例えば「ドル円が上昇している」という状況は、次のどちらかの理由で起こります。
- 米ドルが強く買われている(ドル高)
- 日本円が弱く売られている(円安)
- あるいはその両方が同時に起きている
このとき、もしユーロドルやポンドドルも同時に下落していたら、「ドルが全体的に強い」と判断できます。逆に、ドル円は上昇しているのにユーロドルは上昇している場合、ドルの強さではなく「円が弱い」ことが主因だとわかります。
通貨強弱を判定することで、以下のようなメリットが得られます。
- 勝率の高い通貨ペアを選べる 最強通貨と最弱通貨の組み合わせを選ぶことで、トレンドが出やすくなる
- 無駄なエントリーを減らせる 強弱が曖昧な通貨ペアを避け、方向性が明確なペアだけに絞れる
- 環境認識の精度が上がる 全体の相場状況を俯瞰して見ることで、相場の流れを正しく掴める
初心者がよくやってしまう失敗は、「なんとなくドル円だけを見て売買する」ことです。しかし実際には、ドル円が動いていなくてもユーロドルやポンド円が大きく動いている、という状況はよくあります。通貨強弱を意識することで、そうした「今日動く通貨ペア」を見つけやすくなるのです。
通貨強弱が判定できる仕組みとロジック
通貨強弱を判定する仕組みは、「各通貨ペアの値動きを総合的に分析し、個別通貨ごとの買われ方・売られ方を逆算する」というロジックに基づいています。
具体的には、以下のような計算プロセスを経て通貨強弱が算出されます。
通貨強弱計算の基本ロジック
例えば、主要8通貨(USD, EUR, GBP, JPY, AUD, NZD, CAD, CHF)の強弱を判定する場合、これらを含む複数の通貨ペア(ドル円、ユーロドル、ポンド円、ユーロ円など)の値動きを同時に観測します。
各通貨ペアの価格変動率を基準化し、それぞれの通貨が「何パーセント上昇・下落したか」を個別に計算します。たとえば次のような状況を考えてみましょう。
- ドル円が1%上昇
- ユーロドルが0.5%下落(つまりドル高)
- ポンドドルが0.3%下落(ドル高)
この場合、ドル円・ユーロドル・ポンドドルのいずれもドル買いの動きが見られるため、「ドルが強い」と判定できます。一方で、ユーロ円が横ばいであれば、ユーロは「特別強くも弱くもない」状態だとわかります。
こうした各通貨ペアの値動きから、各通貨の「相対的な強さ」を数値化・可視化したものが通貨強弱インジケーターです。裏側では、複数通貨ペアの価格データを統計的に処理し、個別通貨ごとにスコアリングしています。
なぜ通貨強弱を見ると勝率が上がるのか
通貨強弱を判定すると勝率が上がる理由は、「トレンドが最も強く出やすい通貨ペアを選べるから」です。
たとえば、ドルが最強でユーロが最弱の場合、ユーロドルはドル買い・ユーロ売りの力が最大限に働くため、明確な下降トレンドが発生しやすくなります。一方、ドルとユーロがどちらも中程度の強さの場合、ユーロドルは方向感のないレンジ相場になりがちです。
つまり、通貨強弱を見ることで「今どの通貨ペアがトレンドを出しやすいか」を事前に予測でき、トレンドフォロー戦略の成功率を高めることができるのです。
通貨強弱を判定する3つの具体的方法
ここからは、実際に通貨強弱を判定するための3つの方法を解説します。初心者でもすぐに使えるツールから、上級者向けの分析手法まで紹介しますので、自分のトレードスタイルに合った方法を選んでください。
方法① 通貨強弱インジケーター(CSM)を使う
最も簡単で直感的な方法は、通貨強弱インジケーター(Currency Strength Meter, CSM)を使うことです。
このインジケーターは、MT4やMT5、TradingViewなどのチャートプラットフォームで利用でき、リアルタイムで各通貨の強弱をグラフや数値で表示してくれます。
通貨強弱インジケーターの使い方
- インジケーターをチャートに追加 MT4の場合、「Currency Strength Meter」などのインジケーターをダウンロードし、チャートに表示させます
- 各通貨の強弱を確認 インジケーターには通常、USD、EUR、GBP、JPY、AUDなどの通貨ごとにラインや棒グラフが表示されます。上にあるほど強く、下にあるほど弱い通貨です
- 最強通貨と最弱通貨の組み合わせを探す 例えば、USDが最上位でJPYが最下位なら、ドル円のロング(買い)がトレンドに乗りやすいと判断できます
仕組みの裏側
通貨強弱インジケーターは、主要通貨ペアの過去数時間〜数日の価格変動を取得し、各通貨ごとに「何%上昇・下落したか」を計算しています。たとえば、ドル円が2%上昇し、ユーロドルが1%下落している場合、ドルは「ドル円では+2%、ユーロドルでは+1%」と計算され、合計でプラスのスコアが付けられます。
このように、複数の通貨ペアから逆算的に「個別通貨の強さ」を数値化しているため、全体的な通貨の力関係を一目で把握できるのです。
おすすめの通貨強弱ツール
- MT4/MT5用インジケーター「Currency Strength Meter」
- TradingViewのスクリプト「Currency Strength Chart」
- Webブラウザで使える「MarketMilk Currency Strength」
方法② 複数通貨ペアのチャートを並べて比較
インジケーターを使わなくても、複数の通貨ペアのチャートを並べて目視で比較することで、通貨強弱を判定することができます。
この方法は、インジケーターに頼らず自分の目でトレンドを確認できるため、相場の本質的な動きを理解しやすくなります。
チャート比較の手順
- 主要通貨ペアのチャートを4〜6つ並べる ドル円、ユーロドル、ポンドドル、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円など
- 同じ時間足で値動きを確認 1時間足や4時間足で同時に見比べます
- 共通して上昇・下落している通貨を探す 例えば、ドル円・ユーロドル・ポンドドルがすべて上昇していれば「ドルが全面的に強い」と判断
- 逆に動いている通貨ペアを見つける ドル円が上昇しているのにユーロドルが下落している場合、ドルが強いのではなく「円が弱い」「ユーロが弱い」と判断できます
仕組みの解説
この方法が機能する理由は、「共通通貨を持つ複数のペアを見ることで、その通貨だけの動きを抽出できるから」です。
たとえば、ドル円とユーロドルを見比べた場合、両方に共通するのは「米ドル」です。もし両方のチャートが同じ方向に動いていれば、それはドルの強さ・弱さが主因だと判断できます。一方、ドル円が上がってユーロドルが下がっている場合、ドルは「円に対しては強いが、ユーロに対しては弱い」という中間的なポジションにあることがわかります。
このようにして、通貨ペア同士の値動きを比較することで、個別通貨の力関係を読み解くことができるのです。
方法③ 経済指標・ファンダメンタルズから判断
テクニカル指標だけでなく、経済指標やファンダメンタルズ情報から通貨強弱を判断する方法もあります。
特に、政策金利の変更や重要経済指標の発表直後は、通貨の強弱が劇的に変化するため、ファンダメンタルズ分析は非常に有効です。
ファンダメンタルズで判定する通貨強弱の例
- 金利差 金利が高い通貨は買われやすく、低い通貨は売られやすい。例えば、米国が利上げを続けている場合、ドルは相対的に強くなります
- 経済成長率(GDP) 経済成長が強い国の通貨は買われる傾向があります
- 雇用統計 米雇用統計が予想を上回ればドル買い、下回ればドル売りになることが多い
- 中央銀行の声明 FRBやECBの発表内容によって、ドルやユーロの強弱が大きく変わります
例えば、FOMCで利上げが発表された場合、ドルは全面的に買われやすくなります。詳しくはFOMCとは?政策金利発表が為替レートに与える影響をご覧ください。
仕組みの裏側
ファンダメンタルズによる通貨強弱判定は、「各国の経済状況を比較し、資本がどこに流れやすいかを予測する」というロジックに基づいています。
投資家は常により高いリターンを求めて資金を移動させます。そのため、金利が高い国や経済成長が期待できる国の通貨には資金が集まり、通貨が買われます。逆に、金利が低く経済が停滞している国の通貨は売られやすくなります。
このような資金の流れを先読みすることで、長期的な通貨強弱のトレンドを掴むことができます。
通貨強弱を活用した実践トレード戦略
ここからは、通貨強弱を実際のトレードにどう活かすかを解説します。
最強通貨 × 最弱通貨のペアを選ぶ
通貨強弱分析の最も基本的な戦略は、「今一番強い通貨を買い、今一番弱い通貨を売る」という考え方です。
例えば、通貨強弱インジケーターを確認して以下のような状況だったとします。
- 最強 USD(米ドル)
- 最弱 JPY(日本円)
この場合、ドル円のロング(買い)が最もトレンドに乗りやすいポジションになります。なぜなら、ドルが全体的に買われ、円が全体的に売られている状況では、ドル円は最も強い上昇圧力を受けるからです。
逆に、ユーロが最強でポンドが最弱なら、ユーロポンドのロングが有効です。このように、最強通貨と最弱通貨の組み合わせを選ぶことで、トレンドが出やすく、利益を伸ばしやすいトレードが可能になります。
トレンドフォロー型の順張り戦略
通貨強弱を使った順張り戦略は、以下のような流れで実践します。
- 通貨強弱を確認 最強通貨と最弱通貨を特定
- 該当通貨ペアのチャートを開く 例えば、ドルが最強・円が最弱ならドル円を開く
- トレンドの方向を確認 上位足(日足・4時間足)で明確なトレンドが出ているかチェック
- 押し目や戻りを待ってエントリー 移動平均線やサポートラインまで戻ったところで順張りエントリー
トレンド判断にはダウ理論を活用すると精度が上がります。
通貨強弱の転換点を狙う逆張り
通貨強弱は常に変動しているため、「強かった通貨が弱くなり始めるタイミング」や「弱かった通貨が反転し始めるタイミング」を狙うこともできます。
たとえば、ドルが長期間にわたって最強を維持していた場合、いずれは利益確定の売りが入り、ドルが弱くなる局面が訪れます。このとき、通貨強弱インジケーターでドルの強さが徐々に低下し始めたら、ドル売りのポジションを検討するタイミングです。
ただし、逆張り戦略はトレンドに逆らうため、リスクが高くなります。初心者は順張り戦略から始め、経験を積んでから逆張りに挑戦することをおすすめします。
通貨強弱判定で失敗しないための注意点
通貨強弱は非常に有効なツールですが、いくつか注意すべきポイントがあります。
注意点① 通貨強弱は常に変動する
通貨強弱は固定されたものではなく、時間帯や経済指標の発表によって刻々と変化します。朝の時点でドルが最強だったとしても、夕方には円が最強になっている、ということも珍しくありません。
そのため、エントリー前には必ず最新の通貨強弱を確認し、状況が変わっていないかチェックすることが重要です。
注意点② 通貨強弱だけで判断しない
通貨強弱は「どの通貨ペアを選ぶか」を決める際に役立ちますが、エントリータイミングやリスク管理まではカバーできません。
そのため、通貨強弱で通貨ペアを選んだ後は、テクニカル分析(サポート・レジスタンス、移動平均線、チャートパターンなど)を使ってエントリーポイントを絞り込む必要があります。
環境認識にはマルチタイムフレーム分析も併用すると効果的です。
注意点③ 流動性の低い通貨ペアは避ける
通貨強弱分析で「最強通貨×最弱通貨」の組み合わせを見つけても、その通貨ペアの流動性が低い場合、スプレッドが広く、スリッページが発生しやすくなります。
たとえば、NZD/CHF(ニュージーランドドル/スイスフラン)などのマイナー通貨ペアは、通貨強弱では有利に見えても、取引コストが高くなる可能性があります。初心者は、ドル円・ユーロドル・ポンドドルなどの主要通貨ペアに絞ることをおすすめします。
各通貨ペアの特徴については主要通貨ペアの特徴一覧で詳しく解説しています。
注意点④ 相場の急変時は判定が遅れる
経済指標の発表直後やフラッシュクラッシュなど、相場が急激に動く局面では、通貨強弱インジケーターの反映が遅れることがあります。
そのため、重要指標の発表前後は、通貨強弱だけに頼らず、ニュースやファンダメンタルズ情報も併せて確認することが大切です。
まとめ 通貨強弱を味方につけて勝率を上げる
通貨強弱を判定することで、「今買うべき通貨」「今売るべき通貨」が明確になり、トレンドに乗りやすい通貨ペアを選べるようになります。
この記事で紹介したポイントをおさらいしましょう。
- 通貨強弱とは、複数通貨の中で「どの通貨が買われ、どの通貨が売られているか」を判定する手法
- 最強通貨と最弱通貨の組み合わせを選ぶことで、トレンドが出やすくなる
- 判定方法は3つ インジケーター、チャート比較、ファンダメンタルズ分析
- 順張り戦略では、通貨強弱でペアを選び、押し目・戻りでエントリーする
- 通貨強弱は変動するため、常に最新の状況を確認する
初心者の方は、まず通貨強弱インジケーターを使って各通貨の力関係を視覚的に把握することから始めてみてください。そして、最強通貨と最弱通貨のペアを選び、上位足でトレンドが出ているかを確認してからエントリーする習慣をつけましょう。
通貨強弱を味方につけることで、無駄なエントリーを減らし、勝率の高いトレードが可能になります。ぜひ今日から実践してみてください。
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言や勧誘を意図したものではありません。FX取引は価格変動リスクを伴い、元本割れの可能性があります。取引の際はご自身の判断と責任において行ってください。過去の実績や分析結果は将来の成果を保証するものではありません。