仲値トレード(ゴトー日)とは?日本時間9時55分を狙う手法と勝率の上げ方

FXで「日本時間の午前中にドル円が上がりやすい」という話を聞いたことはありませんか。実はこれ、単なる噂ではなく、銀行の為替レート決定プロセスと日本企業の決済習慣が生み出す、統計的にも確認できる値動きの傾向なのです。この特性を利用したのが「仲値トレード」であり、特に5日・10日・15日・20日・25日・30日といった「ゴトー日」には顕著な動きが見られます。この記事では、なぜ仲値前後にドル円が動くのか、その仕組みから具体的な売買戦略、注意すべきリスクまでを初心者にもわかりやすく解説していきます。

仲値とは?銀行が決める為替レートの基準

仲値(なかね)とは、日本の金融機関が顧客向けの外貨両替や輸入代金決済などに用いる「その日の基準為替レート」のことです。毎営業日の午前9時55分時点の為替レート(インターバンクレート)を参考に、各銀行が独自に決定します。

なぜ9時55分なのか

東京外国為替市場は午前9時に取引が本格化しますが、為替レートは常に変動しています。銀行は顧客との外貨取引に使う基準レートを毎日決める必要があるため、慣習的に「午前9時55分」の市場レートを参考にして仲値を設定するようになりました。この時刻は東京市場がある程度落ち着きを見せ始めるタイミングであり、かつ午前中の早い時間帯であることから、企業の決済業務にも対応しやすいという実務的な理由があります。

仲値決定の仕組みと銀行のカバー取引

重要なのは、銀行が仲値を決める際に「カバー取引」を行うという点です。たとえば、ある企業が輸入代金としてドルを大量に購入する場合、銀行はそのドルを事前に市場で調達しなければなりません。この調達行為が、午前9時台のドル買い需要として為替市場に現れます。

特に月末や五十日(ごとおび)と呼ばれる日には、企業の決済が集中するため、銀行のカバー取引も増加します。その結果、9時55分に向けてドル円が上昇しやすくなるのです。これが「仲値トレード」の根幹となるメカニズムです。

ゴトー日とは?5と10のつく日に起きる現象

ゴトー日(五十日)とは、毎月5日・10日・15日・20日・25日・30日を指す商習慣上の区切り日です。日本企業の多くは、この日を支払い期日や決済日として設定しており、輸入企業が外貨(特に米ドル)を購入する動きが活発化します。

なぜゴトー日にドル需要が高まるのか

日本は資源や原材料を海外から輸入する企業が多く、その代金は多くの場合ドル建てで支払われます。輸入企業は決済日までにドルを調達する必要があるため、ゴトー日前後に銀行へドル購入の注文を集中させます。銀行はこれを受けて市場でドルを買い付けるため、午前9時台にドル円の買い圧力が強まるのです。

統計的にも確認できる傾向

過去のドル円チャートを分析すると、ゴトー日の午前9時から9時55分にかけてドル円が上昇する確率は、通常の営業日よりも高い傾向が見られます。もちろん100%ではありませんが、この統計的優位性を利用するのが仲値トレードの基本戦略となります。

仲値トレードの基本戦略|9時台のドル買い傾向

仲値トレードの最も一般的な手法は、「ゴトー日の午前9時前後にドル円をロング(買い)し、仲値が決まる9時55分前後で利益確定する」というものです。

エントリーのタイミング

エントリーの目安は午前8時50分から9時10分の間です。あまり早すぎると東京市場がまだ本格稼働しておらず、遅すぎると既に上昇が始まっている可能性があります。理想的なのは、9時の寄り付きから少し様子を見て、明確な上昇トレンドが確認できたタイミングでエントリーすることです。

利益確定のタイミング

利益確定は9時50分から9時55分の間が目安です。仲値が決まると、銀行のカバー取引が一段落するため、それ以降はドル買い圧力が弱まります。欲張って10時以降も保有し続けると、反転下落に巻き込まれるリスクが高まるため、早めの利確が推奨されます。

獲得pipsの目安

仲値トレードで狙える利幅は、通常5pipsから20pips程度です。ゴトー日で需給が強い場合は30pips以上動くこともありますが、基本的には短時間で小さな利益を積み重ねる戦略と考えてください。スキャルピングやデイトレードの一環として組み込むのが効果的です。

短時間で小さな利益を積み重ねる手法については、スキャルピングの基本とコツ|超短期売買で稼ぐ手法も参考にしてください。

仲値後の反転を狙う|9時55分以降のドル売り

仲値トレードには、もう一つの戦略があります。それが「仲値決定後の反転下落を狙うショート(売り)戦略」です。

仲値後にドル円が下がる理由

午前9時55分に仲値が決まると、銀行のカバー取引は完了します。つまり、それまでドル円を押し上げていた買い需要が消失するため、価格は自然と下落しやすくなります。特に、仲値前に急激に上昇した場合、その反動で10時以降に下落する傾向が強まります。

ショート戦略のエントリータイミング

ショートエントリーは、9時55分から10時10分の間が目安です。仲値が決まった直後に反転の兆候(上ヒゲの長い陰線や急激な下落)が見られたら、ショートポジションを持ちます。ただし、この戦略は仲値前の上昇が明確だった場合に有効であり、そもそも仲値前に上昇していなければ反転下落も限定的です。

利益確定と損切りの設定

利益確定は10時30分から11時の間が目安です。東京市場の午前セッションが落ち着く時間帯であり、その後は欧州勢の参入を待つ展開になります。損切りは、仲値前の高値を明確に上抜けた場合に実行します。反転下落が失敗した場合は、素早く撤退することが重要です。

実践的なエントリーとエグジットのタイミング

ここでは、仲値トレードを実践する際の具体的な手順を時系列でまとめます。

ゴトー日の朝のルーティン

  1. 8時30分:その日がゴトー日であることを確認。経済指標カレンダーで重要発表がないかチェック。
  2. 8時50分:ドル円のチャートを開き、5分足または15分足でトレンドを確認。
  3. 9時00分:東京市場がオープン。最初の5分間は様子見。
  4. 9時05分〜9時10分:明確な上昇トレンドが確認できればロングエントリー。
  5. 9時50分〜9時55分:利益確定。欲張らずに早めの決済を心がける。
  6. 10時00分〜10時10分:反転下落の兆候があればショートエントリー(任意)。
  7. 10時30分〜11時00分:ショートポジションを利益確定。

テクニカル指標との併用

仲値トレードは時間帯による需給変動を利用した手法ですが、テクニカル指標と組み合わせることで勝率を高められます。特に有効なのは以下の指標です。

  • 移動平均線:5分足の5SMAと20SMAのゴールデンクロスを確認してエントリー。
  • ボリンジャーバンド:バンドの上限に到達したら利益確定のサイン。
  • RSI:70を超えたら買われすぎ、30を下回ったら売られすぎとして反転を警戒。

移動平均線の使い方については、移動平均線の基本|SMAとEMAの違いとゴールデンクロスで詳しく解説しています。

ボリンジャーバンドの活用法は、ボリンジャーバンドの使い方|順張り・逆張りのシグナルをご覧ください。

仲値トレードのリスクと注意点

仲値トレードは統計的優位性のある手法ですが、万能ではありません。以下のリスクと注意点を必ず理解しておきましょう。

経済指標発表との重複

日本時間の午前中に重要な経済指標発表がある場合、仲値の需給よりも指標の結果が優先されます。特に日銀の金融政策決定会合や米国雇用統計の発表日は、仲値トレードを見送るべきです。指標による急変動に巻き込まれると、損切りが間に合わない可能性があります。

経済指標発表時のトレード手法については、経済指標発表時のトレード手法|両建てや急変動狙いで解説しています。

ゴトー日でも必ず上昇するわけではない

ゴトー日であっても、海外市場の強いトレンドが優先される場合があります。たとえば、前日のニューヨーク市場でドル円が大きく下落した場合、東京時間でも下落トレンドが継続することがあります。仲値需要よりも大きな流れに逆らうことはできないため、環境認識が重要です。

スプレッドとスリッページに注意

仲値トレードは短時間で小さな利益を狙う手法であるため、スプレッドの影響が大きくなります。スプレッドが広い業者を使っていると、利益が削られてしまうため、なるべくスプレッドの狭い国内FX業者を選ぶべきです。また、9時55分前後は注文が集中するため、スリッページが発生しやすい時間帯でもあります。

スプレッドが狭い業者の選び方は、スプレッド比較|主要通貨ペアの手数料が安い業者は?を参考にしてください。

過度な期待は禁物

仲値トレードは「確実に儲かる手法」ではありません。統計的に優位性があるというだけで、負けることもあります。資金管理を徹底し、1回のトレードで資金の2%以上をリスクにさらさないようにしましょう。また、連敗が続いた場合は一旦休むことも重要です。

リスク管理の基本については、2%ルールとは?1トレードのリスク許容額の決め方で詳しく解説しています。

まとめ|仲値トレードで安定的に利益を積み上げるために

仲値トレード(ゴトー日手法)は、日本独特の商習慣と銀行の為替決済プロセスを利用した、初心者にも取り組みやすい短期手法です。最後に要点をまとめます。

  • 仲値とは:銀行が午前9時55分に決定する基準為替レート。
  • ゴトー日とは:5日・10日・15日・20日・25日・30日。企業の決済が集中しドル需要が高まる。
  • 基本戦略:9時台にドル円をロング、9時55分前後で利益確定。
  • 反転戦略:仲値後の下落を狙ったショートも有効。
  • 注意点:経済指標発表との重複、大きなトレンドとの逆行、スプレッドの影響に注意。

仲値トレードは統計的優位性のある手法ですが、過信は禁物です。必ず事前にデモトレードで練習し、リアル口座では少額から始めることをおすすめします。また、仲値トレードだけに依存せず、他の手法と組み合わせることで、より安定した収益を目指しましょう。

デイトレード全体のルーティンについては、デイトレードの基本ルーティン|1日で完結する売買手法も合わせて読むことで、より実践的な知識が身につきます。

東京市場の特徴や他の市場時間帯との違いについては、FXの取引時間|市場ごとの特徴(東京・ロンドン・NY)で詳しく解説しています。

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、投資助言や勧誘を意図したものではありません。FX取引にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。取引を行う際は、ご自身の判断と責任において行ってください。また、記事の内容は執筆時点の情報に基づいており、将来の市場動向を保証するものではありません。