FXの両建てとは?メリット・デメリットと「意味ない」と言われる理由を徹底解説
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FXトレードを始めると、「両建て」という言葉を一度は耳にすると思います。同じ通貨ペアで買いポジションと売りポジションを同時に保有するこの手法は、「損失を固定できる」「ロスカットを回避できる」といったメリットが語られる一方で、「意味がない」「初心者がハマる罠」といった否定的な意見も数多く存在します。
両建ては確かに有効な場面もありますが、仕組みを正しく理解せずに使うと、スプレッド負担やスワップポイントのマイナスで資金を減らし続ける危険性があります。この記事では、両建ての基本的な仕組みから、メリット・デメリット、効果的な使い方まで、FX初心者にもわかりやすく徹底解説します。
結論から言えば、両建ては「資金管理ツール」としての側面があるものの、多くの場合は損切りや資金配分の見直しで代替可能です。しかし、特定の状況下では戦略的に活用できるため、正しい知識を身につけることが重要です。
両建て(ヘッジ)とは?基本的な仕組み
両建てとは、同じ通貨ペアで「買いポジション(ロング)」と「売りポジション(ショート)」を同時に保有する状態のことを指します。例えば、ドル円で1ロットの買いポジションを持っている状態で、さらに1ロットの売りポジションを追加すると、両建て状態になります。
両建ての基本パターン
| 状況 | ポジション構成 | 結果 |
|---|---|---|
| 通常の保有 | ドル円 買い 1ロット | 為替変動による損益が発生 |
| 両建て状態 | ドル円 買い 1ロット ドル円 売り 1ロット |
為替変動による損益が相殺される |
| 部分両建て | ドル円 買い 2ロット ドル円 売り 1ロット |
実質的に買い 1ロットと同じ |
両建ての仕組み|なぜ損益が固定されるのか
両建てをすると、価格が上昇しても下落しても、一方の利益と他方の損失が同額になるため、含み損益の合計がその時点で固定されます。これは、買いと売りという相反するポジションが互いの価格変動リスクを打ち消し合うためです。
例えば、ドル円を150.00円で1ロット買った後、148.00円まで下落したとします。この時点で含み損は-2円(-20万円相当)です。ここで1ロットの売りポジションを追加すると、以降の価格変動による損益は以下のようになります。
- 価格が147.00円に下落した場合:買いポジションの含み損は-3円に拡大しますが、売りポジションは+1円の含み益が発生し、合計の含み損益は変わらず-2円
- 価格が149.00円に上昇した場合:買いポジションの含み損は-1円に縮小しますが、売りポジションは-1円の含み損が発生し、合計の含み損益は変わらず-2円
このように、両建てによって「現時点の含み損益が固定される」という状態が作られます。ただし、これは単に問題を先送りにしているだけで、根本的な解決にはならない点に注意が必要です。
国内FX業者と海外FX業者の両建て対応
国内FX業者の多くは、両建てポジションをそのまま保有できる「両建て可能」な仕様になっています。一方、一部の海外FX業者では、両建て注文を出すと自動的に相殺されて決済される「両建て不可」の仕様を採用している場合があります。
両建て不可の業者では、買い1ロットと売り1ロットの注文を出すと、システムが自動的にポジションをゼロにして決済してしまいます。これは、内部的に「買いと売りを相殺する方が証拠金効率が良い」という考え方に基づいています。両建てを戦略的に使いたい場合は、事前に業者の仕様を確認しておくことが重要です。
両建てのメリット|なぜ使われるのか
両建てが完全に無意味な手法であれば、ここまで議論されることはありません。実際、特定の状況下では両建てが有効に機能する場面があります。ここでは、両建ての主なメリットを解説します。
1. 強制ロスカットを回避できる
両建ての最大のメリットは、証拠金維持率の急激な低下を防ぎ、強制ロスカットのリスクを軽減できる点です。含み損が拡大してロスカット寸前になった時、逆方向のポジションを建てることで、それ以上の含み損拡大を防ぐことができます。
例えば、ドル円を買いポジションで保有中に急落が発生し、証拠金維持率が120%まで低下したとします。このまま下落が続けば100%を割り込んでロスカットされてしまいますが、売りポジションを追加することで、価格変動による証拠金維持率の変動を止めることができます。
ただし、これは一時的な延命措置に過ぎません。両建て状態でもスプレッドやスワップポイントのコストは継続的に発生するため、根本的な解決にはなりません。詳しくは強制ロスカットの仕組みと証拠金維持率の安全圏で解説しています。
2. 時間を稼いで状況を見極められる
相場が急変動している時や、経済指標発表前後などの不確実性が高い場面では、両建てによって一時的にポジションを固定し、冷静に状況を分析する時間を確保できるというメリットがあります。
例えば、重要な経済指標の発表直前にポジションを保有している場合、発表内容次第で大きく動く可能性があります。この時、結果が出るまで両建てで固定しておき、発表後にどちらか一方のポジションを決済するという戦略が考えられます。
3. スワップポイントの調整ができる
通貨ペアによっては、買いと売りのスワップポイントの差を利用して、両建てによるスワップコストを最小化できる場合があります。特に、高金利通貨ペアで長期保有する際に、一部を両建てにすることでスワップ負担を軽減する戦略があります。
ただし、多くの場合、買いスワップと売りスワップの合計はマイナスになるように設定されているため、完全なスワップフリーにはなりません。業者によってスワップポイントの設定が異なるため、両建てによるスワップ調整を検討する場合は、事前に計算しておくことが重要です。
スワップポイントの基本的な仕組みについては、スワップポイントとは?金利差で稼ぐ仕組みと注意点で詳しく解説しています。
4. 税金対策として活用できる場合がある
国内FX業者を利用している場合、年末に含み益のあるポジションを決済すると、その年の課税対象になります。しかし、含み益を確定させたくない場合、両建てによって実質的にポジションを固定したまま年をまたぐことができます。
ただし、この手法は税務的にグレーゾーンの部分もあり、税理士に相談することをおすすめします。また、スワップポイントのコストが発生するため、税金対策としてのメリットがコストを上回るかどうかを慎重に検討する必要があります。
両建てのデメリット|隠れたコストとリスク
両建てには一見魅力的なメリットがありますが、実際には多くのデメリットやコストが隠れています。ここでは、両建てを使う前に必ず理解しておくべきデメリットを解説します。
1. スプレッドコストが2倍かかる
両建ての最も直接的なデメリットは、買いと売りの両方でスプレッドコストが発生するため、実質的にスプレッド負担が2倍になる点です。
例えば、ドル円のスプレッドが0.2pipsの業者で1ロットの両建てを行うと、買いポジションで0.2pips、売りポジションで0.2pipsのコストが発生し、合計0.4pips(4,000円相当)のコストがかかります。これは、単純にポジションを決済した場合と比べて、余分なコストを支払っていることを意味します。
スプレッドの仕組みとコストの計算方法については、スプレッドとは?実質コストの仕組みと広い・狭いの影響で詳しく解説しています。
2. スワップポイントがマイナスになることが多い
両建てをすると、買いポジションと売りポジションの両方でスワップポイントが発生しますが、多くの業者では買いスワップと売りスワップの合計がマイナスになるように設定されています。
例えば、ある通貨ペアで買いスワップが+30円、売りスワップが-50円の場合、両建てすると1日あたり-20円のスワップコストが発生します。これは、両建て状態を維持している限り、毎日確実に資金が減少していくことを意味します。
3. 証拠金が2倍必要になる(業者による)
国内FX業者の中には、両建てポジションの証拠金を「MAX方式」で計算する業者と、「合算方式」で計算する業者があります。
| 計算方式 | 必要証拠金 | 特徴 |
|---|---|---|
| MAX方式 | 買いと売りのうち大きい方のみ | 証拠金効率が良い(多くの国内業者) |
| 合算方式 | 買いと売りの両方の合計 | 証拠金が2倍必要(一部の業者) |
合算方式の業者で両建てをすると、単一方向のポジションを持つ場合と比べて2倍の証拠金が必要になるため、資金効率が大幅に悪化します。両建てを検討する場合は、必ず業者の証拠金計算方式を確認してください。
4. 決済のタイミングが難しい
両建てをした後、最も難しいのが「どのタイミングでどちらのポジションを決済するか」という判断です。両建て状態は損益を固定しているだけなので、最終的にはどちらかのポジションを決済して方向性を確定させる必要があります。
しかし、両建て解除のタイミングを間違えると、せっかく固定した損益がさらに悪化する可能性があります。例えば、含み損を抱えた買いポジションと、含み益のある売りポジションを両建てしている場合、売りポジションを先に決済すると、その後の価格変動で買いポジションの含み損がさらに拡大するリスクがあります。
5. 心理的な判断を先送りにするだけ
両建ての最大の問題は、損切りという本質的な判断を先送りにしているだけという点です。含み損を抱えたポジションに対して、損切りではなく両建てで対処することは、問題の解決ではなく問題の棚上げに過ぎません。
損切りができずに両建てを繰り返すと、複雑なポジション構成になり、最終的にどうすれば良いか分からなくなってしまいます。これは、トレード技術の向上を妨げる大きな要因となります。
損切りの正しい考え方については、損切り(ストップロス)の置き方|根拠のある設定基準で詳しく解説しています。
両建てが「意味ない」と言われる理由
FXの経験者や専業トレーダーの間では、「両建ては意味がない」という意見が多数を占めます。ここでは、なぜ両建てが否定的に評価されるのか、その理由を解説します。
1. 経済的に同値である
両建ての最も根本的な問題は、経済的に見て「ポジションをゼロにした状態」と同じであるという点です。買い1ロットと売り1ロットを保有している状態は、数学的には何もポジションを持っていない状態と等価です。
つまり、両建てをするくらいなら、最初からポジションを決済してゼロにした方が、スプレッドやスワップのコストを節約できます。両建てによって「含み損を見なくて済む」という心理的な安心感は得られるかもしれませんが、実質的には何も解決していません。
2. コストだけが確実にかかる
両建て状態を維持している間、スプレッドとスワップポイントのコストは確実に発生します。しかも、両建てによって損益が固定されているため、このコストは純粋な損失として確定します。
例えば、1日あたりスワップコストが-20円の両建てを1ヶ月間維持すると、-600円のコストが確定します。これは、何の利益も生まないままコストだけを支払い続けている状態です。
3. 資金効率が極めて悪い
両建てによって証拠金を拘束されている間、その資金を他のトレードチャンスに使うことができません。特に、合算方式の業者では証拠金が2倍必要になるため、資金効率が著しく悪化します。
例えば、100万円の資金で両建てをしている場合、その資金を解放して別の優位性のあるトレードに使えば、利益を得られる可能性があります。しかし、両建てで資金を拘束していると、そのチャンスを逃すことになります。
4. トレード技術の成長を妨げる
両建てに頼る最大の問題は、損切りや資金管理といった本質的なトレードスキルの習得を妨げる点です。損切りができないトレーダーが両建てで逃げ続けると、いつまでたっても勝てるトレーダーになれません。
プロのトレーダーは、損切りを「必要なコスト」として受け入れ、トータルで利益を出す戦略を構築しています。両建てで損切りを先送りにする習慣は、この本質的なスキルの習得を遅らせてしまいます。
正しい資金管理の考え方については、2%ルールとは?1トレードのリスク許容額の決め方で詳しく解説しています。
両建てを効果的に使う場面と条件
ここまで両建てのデメリットを強調してきましたが、実は戦略的に両建てを使うことで有効に機能する場面も存在します。ただし、それには明確な根拠と出口戦略が必要です。
1. 経済指標発表時のリスクヘッジ
重要な経済指標発表の直前にポジションを保有している場合、一時的に両建てで固定しておき、発表後の値動きを確認してから片側を決済するという戦略があります。
例えば、米国雇用統計の発表前にドル円の買いポジションを保有している場合、発表直前に売りポジションを追加して両建てにします。そして、発表後にドルが上昇すれば売りポジションを損切りし、ドルが下落すれば買いポジションを損切りします。
経済指標発表時のトレード戦略については、経済指標発表時のトレード手法|両建てや急変動狙いで詳しく解説しています。
2. 長期ポジションの短期調整
スイングトレードやポジショントレードで長期保有しているポジションに対して、短期的な調整局面で一時的に逆ポジションを建てる戦略があります。これは、長期的なトレンドは継続すると判断しているが、短期的な反発や調整を取りたい場合に有効です。
例えば、ドル円の長期的な上昇トレンドを見込んで買いポジションを保有している場合、短期的な調整下落が予想される局面で売りポジションを追加し、調整が終わったら売りポジションのみを決済する戦略です。
スイングトレードの基本的な考え方については、スイングトレードのメリット|会社員におすすめの手法で詳しく解説しています。
3. 異業者間での両建てアービトラージ
高度な戦略として、スワップポイントの設定が異なる2つの業者を使い、買いスワップがプラスの業者で買いポジション、売りスワップがプラスの業者で売りポジションを持つことで、両方のスワップポイントを受け取る「スワップアービトラージ」という手法があります。
ただし、この手法は以下の理由からリスクが高く、初心者にはおすすめできません。
- 業者間でレート差が発生した場合、一方的に損失が拡大する可能性がある
- 業者がスワップポイントを変更すると、戦略が崩れる
- 多くの業者が利用規約で禁止しており、発覚すると口座凍結のリスクがある
両建てを使う際の絶対条件
両建てを戦略的に使う場合、以下の条件を満たしている必要があります。
- 明確な出口戦略がある:どのタイミングでどちらのポジションを決済するか、事前に決めておく
- コストを計算済み:スプレッドとスワップポイントのコストを計算し、戦略のメリットが上回ることを確認する
- 一時的な使用に限定:長期間の両建ては避け、短期的な戦術として使う
- 損切りの代替ではない:損切りを避けるための両建ては使わない
まとめ|両建ては万能ではない
FXの両建ては、正しく理解して使えば有効な場面もありますが、多くの場合は損切りや資金配分の見直しで代替可能です。特に初心者は、両建てに頼るのではなく、まず損切りや資金管理といった基本的なスキルを身につけることが重要です。
この記事の重要ポイント
- 両建ては同じ通貨ペアで買いと売りを同時保有する手法で、損益を固定できる
- メリットは強制ロスカット回避や時間稼ぎができることだが、デメリットも多い
- スプレッド2倍、スワップコスト、資金効率の悪化などの隠れたコストが発生する
- 「意味ない」と言われる理由は、経済的にポジションゼロと同じでコストだけかかるため
- 戦略的に使う場合は、明確な出口戦略とコスト計算が必須条件
- 損切りの代替として両建てを使うのは、トレードスキルの成長を妨げる
次のステップ
両建てについて理解したら、次は本質的な資金管理とリスク管理のスキルを磨きましょう。損切りの正しい置き方や、リスクリワードレシオの考え方を学ぶことで、両建てに頼らない健全なトレードが可能になります。
また、自分のトレードスタイルに合った時間軸(スキャルピング、デイトレード、スイングトレード)を確立することも重要です。明確なトレード戦略があれば、両建てという曖昧な手法に頼る必要はなくなります。
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